AIスタートアップ企業、辞めました。【転職失敗談】

【2020年記事作成】

実は昨年、初心者かつ未経験である僕をデータサイエンティストとして雇ってくれたスタートアップ企業を退職しました。

僕はAIとか機械学習にすごく興味があって、未経験ながらこのスタートアップ企業にデータサイエンティストとして入社させていただいた経緯があります。

会社には1年間大変お世話になったのですが、退職を決意したのは僕が求めていたものとギャップがあったように感じたのが大きな理由です。

参考までにいくつか退職理由を紹介していきたいと思います。

 

1.データサイエンティスト ≠ エンジニア

初めての業界に足を踏み入れた入社当時、今をときめくAIスタートアップ企業ということもあって、淡い期待と高揚感を抱いておりました。

  • AIやら機械学習を使って物事を予測するプロジェクトをやるんだろうなぁ
  • Deep Learningに関する最新の論文をみんなで読み合わせたりして、モデリングの知見を深めていけるんだろうなぁ
  • 社内にはアプリやらインフラやらDBに詳しいエンジニアがいて、皆で勉強会とかやっているんだろうなぁ
  • エンジニアは私服で、音楽聞きながら自由に仕事できるんだろうなぁ

ということを漠然と考えておりました。

 

しかし、現実は大きく違っておりました。

 

入社初日、PCのセットアップもままならない状態で社内打合せに呼ばれました。

打合せではちょうどアサインを決めるタイミングだったようで、さっそくいくつかの顧客のメイン担当にアサインされたのです。

当然、担当顧客のことは何も知らないまま過去の担当者の雑なメモのみ渡され、さっそく営業資料を作成するように言われたのです。

 

「こんな殴り書きのメモだけじゃ相手の課題感もよくわからん…」

と思いながら、なんとか想像を膨らませて資料を作成し、営業へと繰り出しました。

 

結果は見るも無残。

一応相手も社会人なのでその場で罵倒されるようなことはありませんでしたが、資料については見向きもされない毎日が続きました。

 

そして入社して1か月が経ったころ、”1か月間Python触ってないな…、同僚のみんなも全くコードを書いていたり、データを見ている様子がなくパワポをいじってるだけ?”ということに気が付きました。

 

最初はこんなもんかと思い疑いもしなかったのですが、真相は単純明快でした。

 

「顧客から案件を受注できなければ、データを触る機会もコードを書く機会も全くない」ということ

つまり、自分で案件を取ってこれなければいつまでたっても慣れない営業活動をするしかないのです。

 

その当時の社長は、

「エンジニアリングスキルは現場に入ってからガッツリ学んでいけるから、まずは案件受注することに注力していこう」

「”お客さんの抱えているビジネス課題”や”実作業に対する工数”、”売上”といったことを理解しているデータサイエンティストは市場価値が高い!」

という一見正しいことを言っていてかつ甘い言葉で社内を納得させていました。

エンジニアとして入社したつもりが、気づけば2か月以上もPythonを使わず、エンジニアリングから遠ざかっており不満は募るばかりでした。

悪いことばかりではなく、社内にコンサル上がりの方がいたおかげでパワポ資料作成のノウハウはしっかり身に付きました。

 

2.エンジニアリング力軽視な社風

右も左もわからないなか営業を続けて数か月が経ったころ。

頑張った甲斐もあり、奇跡的に案件受注することができてようやくエンジニアリングに没頭できる!と息巻いていたのもつかの間。

 

未経験で転職してきて営業しかしてない初心者がいきなり実務レベルのデータサイエンスなんて急にできるわけないですよね。

それは私に限らず、結局技術的な知識が必要になる場合は、社内にそういった人材はいないので外注してエンジニア派遣により補う、というのがプロジェクトの進め方となっていました。

自分なんかよりよっぽどスキルを持っているデータアナリスト、データエンジニア、DBエンジニア等の派遣さん。

一方で、社員であるデータサイエンティストは何をするのかというと、お客さんとの折衝、プロジェクトマネジメント、資料作成。

慣れないプロジェクトということもあり、これだけのタスクでいっぱいいっぱいになっていてデータサイエンスをやっている余裕なんてほとんどありませんでした。

 

足りないものはアウトソーシングで調達するというやり方では、いつまでたってもエンジニアとして手に入れたかったノウハウや技術力、経験が手に入りません。

実際に案件が終わって社内に残るものは、報告書のみ。派遣さんも当然プロジェクトが終わればさよならです。

お客さんによってはPythonのコードすら社内に持ち帰ることができないこともありました。

とてもエンジニアとして成長できる環境ではなかったです。

 

3.もう辞めよう

社長の描くデータサイエンティスト像はデータサイエンスができることではありませんでした。

自分もモチベーション維持のために何度もプロジェクト中にデータサイエンスにできるだけ触れていようと思いましたが、むなしく散っていきました。

データサイエンスの時間を確保しようとデータを見たりするのですが、結局資料作成を優先しなければならず、いつもメンバーに迷惑をかけてしまっていました。

今思えば、もともとデータサイエンス経験もなく、コンサル経験すらない自分が、プロジェクトリーダーとして方向性を決めるのですから、プロジェクトの方向性や時間配分、タスク振り分けが無茶苦茶になってしまうのは当然です。

非常に辛かったです。お客さんがとても優しい人たちだっただけに、自分のスキルの無さゆえの中途半端さを余計に感じてしまいました。

”エンジニアとして、データサイエンス力がなければプロジェクトやチームのマネジメントはできない。”

という事実を痛いほど実感するとともに

”そもそも俺はエンジニアリングがやりたいんじゃ!”

という本音を隠しきることができず、会社を去る決断をしました。

 

4.データサイエンティストとして気持ちよく働くために

重要なことは次の3点かなと思います。

  • 自社でデータを持っていたり、データがたくさんある環境である
  • 社内に勉強会をやったり積極的にイベントに参加する風潮がある
  • 役割分担が決まっており、営業ばかりさせられない

 

おわり。

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